海抜とシャトルの選択について

 

<目安>

海抜300mにつき適正気温の番手から、1番手ずつ小さくする

 

 長野県内の各都市は海抜が高い場所に位置するため、気圧が低くシャトルが大変飛びやすい状況になっています。バドミントン本来のラリーを味わうためや、技術向上のためにも適正な飛びのシャトル(長野県内のプレーヤーにとって「飛ばない」と感じるシャトル)を使用して下さい。また、海抜300mにつきという目安は、メーカー側の現実的な供給のことを考えるとこの程度が妥当なのです。

 

長野県プレーヤーにひとこと 

シャトルが飛ばない方が、楽しいバドミントンができます。

 

今後の具体的方策

1、主催者がシャトルを準備する大会は、目安に基づいてシャトルを選定し、番手と海抜を常に公表する。

2、プレーヤーがシャトルを持ち寄る大会は、目安に基づいて準備する。

3、プレーヤーは目安に基づいたシャトルをメーカーや小売店に要求し、目安に基づいたシャトルを生産してもらえるように働きかける。

4、練習の段階からプレーヤー自身が適正な飛びのシャトルを使用することに心がける。適正な飛びのシャトルとは、長野県内のプレーヤーにとって「ぜんぜん飛ばない」と感じるシャトルのこと。

5、海抜に応じた番手が準備できない場合は、シャトルをに折り目を付けて試合や練習を行う。飛びすぎるシャトルを準備するということは、シャトルに折り目を付けることの是非を問う以前の重大なルール違反です。

 

県内各地の海抜と番手の目安

海抜(m)

番手の目安

長野市

362
-1

上田市

456
-1〜-2

松本市

592
-2
安曇野市 550 -2

大町市

726
-2〜-3

諏訪市

761
-2〜-3

岡谷市

779
-2〜-3

塩尻市

713
-2〜-3

駒ヶ根市

676
-2

飯田市

499
-1〜-2

茅野市

801
-2〜-3

佐久市

692
-2


温度別適正分類表/水鳥球 (Y社のカタログより

表示番号
適正範囲温度(°C)
33以上
27〜33
22〜28
17〜23
12〜18
7〜13
7以下

気温とシャトルについて

 シャトルはわずか5グラム前後という重量のために、気温・湿度の変化に敏感で、1℃の違いで4〜5cm飛距離が変わるほどデリケートなものです。(その割にちぎれた羽でも試合が続行されるアバウトな面もありますが...。)逆に言うとシャトルの番手が1番違えば20〜25センチ飛距離に差が出ます。よって我々はその季節に応じたシャトルを選択して使用していく必要があります。また、天然の素材を使うこともあって、保管には十分気を使う必要があります。直射日光のあたる場所や、車のトランクに入れっぱなしなどは論外で、長い期間保管しておいたシャトルを使うことも適当ではありません。長い期間保管するとシャトルの質が低下します。シャトルは生もので、旬があるのです。

 シャトルの飛びは空気の密度と密接な関係を持っています。気温が高ければ空気の密度は小さいので抵抗が小さくなってシャトルはよく飛びます。従って気温が高いときはシャトル自体のスピードを抑えた(飛ばない)ものを使用します。逆に気温が低いときは空気の密度が高く抵抗が大きいのでシャトルが飛びにくくなります。従って、シャトル自体はスピードの出る(よく飛ぶ)ものを使用します。冬用のシャトルにはコルクの部分にネジを入れて重量を増して、飛距離を伸ばす場合もあります。夏に冬用のシャトルを使えばアウトになり易くなります。羽の植え込み角度やコルクの重量は飛距離を決定づける大きな要因です。

 

長野県とシャトル

 気温とシャトルの関係の他に、もう一つカタログには載らない大きな要因があります。それは、海抜です。長野県は各地域とも海抜が高く、気圧が低いために気温が高い状態と同じでシャトルが飛びやすい状況になっています。メーカーによる海抜とシャトルの飛びの相関データーはありませんが、経験的に長野県の場合は通常の番手を使用しても30cm以上シャトルがよく飛びます。場所によっては1メートル近く飛びすぎます。バドミントンはぎりぎりのアウトインを競うゲームにも関わらず、こんな悲惨な状況でゲームが行われているのです。私たちは今までシャトルの海抜による影響に関して非常に無関心でした。長野県で海抜0mと同じ飛びを期待するなら、海抜に応じて番手を小さくしたシャトルを選択する必要があります。あるいは常に羽の先に折り目をつけて飛距離を押さえなければなりません。そこで、今回の目安「海抜300mにつき、適正気温の番手から1番手ずつ小さくする」または、「海抜100mにつき1.5度〜2.0度 気温設定を上げる」ということを提案します。理想をいえばもっと番手を落としたいところですが、メーカー側の現実的な供給のことを考えるとこの程度が妥当です。

 シャトルは飛ばない方がラリーがよく続いて面白味が増すといわれています。バドミントンの面白味の一つはこの飛びにくいシャトルを全力で打ち返しラリーを続けることにあります。長いラリーが続いた後は勝っても負けても充実した気持ちになるものです。

 飛びすぎるシャトルをアウトにしないように打つ技術と、適当な飛びのシャトルを力一杯打ち合う技術は全く違うものです。前者の場合はシャトルのスピードとアウトの多さ故にラリーは短くなりますが、後者の場合はシャトルのスピードが適切でアウトは少なくなるために比較的ラリーが長引きます。そのためシャトルを打ち合う絶対的な筋力とラリーに絶える筋力・心肺機能が同時に養われます。

 長野県でバドミントンをする以上、この地域に合わせたプレーをすることは必要ですがバドミントンの強豪は漏れなく海抜0m地域です。我々長野県人は「全然飛ばない」と感じるシャトルを打つ必要があります。今後はメーカーと協力したり、プレーヤー自身がよくこのことを理解しシャトルを選定していくことが大切です。長野県のバドミントンの競技力が低迷している最大の要因はこの海抜の高さにあると考えます。

 長野県内でバドミントンをプレーするのであれば、特に海抜に合わせたシャトルを選択するべきでなのです。

(新井研二)

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